用語集

離職予防・退職兆候の用語集

離職予防を調べはじめると、「予兆」「エンゲージメント」「ベースライン」「誤検知」のように、似ているけれど意味の違う言葉が並びます。ここでは、人事・経営者が離職予防を検討するときに出会う12の用語を、まず一文で定義し、続けて実務でどう使われるか、ChordOne Retention の画面ではどこに現れるかを添えました。記事を読む途中で戻ってくる辞書としてお使いください。

退職予兆(離職兆候)

退職の意思が固まる前後に、本人の平常時と比べて現れる行動やコンディションの変化のこと。発言量・応答・会議参加・勤怠などに、数週間から数か月かけて表れます。

「退職予兆」と「離職兆候」はほぼ同じ意味で使われます。大事なのは、単独の出来事ではなく「以前と比べて変わった」という変化であること、そして1つの指標ではなく複数が同じ時期に重なることで意味を持つことです。発言が少ないだけなら性格かもしれませんし、残業が減っただけなら方針変更かもしれません。

ChordOne Retention では、退職予兆を系統ごとの一文(例:「会議や 1on1 への参加・関与が減っています」)でまとめ、「最初に出た日」と「N日間でM件」を添えて表示します。どの系統にどんな変化が出るかは 退職の兆候はデータにどう出るか に詳しくまとめています。

リテンション

社員が辞めずに働き続けられるように、会社側が行う取り組み全体のこと。採用の裏側にある「定着」の施策で、引き止めだけでなく日常の関わりを含みます。

英語の retention(保持・維持)から来た言葉で、人事の文脈では「定着施策」とほぼ同義です。退職の申し出があってから条件を出して引き止めることではなく、負荷の調整、役割の見直し、キャリアの対話、評価の納得感づくりなど、辞めたくならない環境を日常的に整えることを指します。

ChordOne Retention という製品名もここから来ています。「見つける」製品ではなく、まだ間に合う時期に上司や人事が本人のために動くための製品、という位置づけです。取り組みの費用対効果を考えるときは 離職1人のコストの計算方法 が目安になります。

エンゲージメント

社員が仕事や会社に対して、自分から関わろうとする度合いのこと。満足度とは異なり、「この会社で成果を出したい」という前向きな結びつきを指します。

「満足している」と「エンゲージメントが高い」は違います。居心地がよく満足していても、成果に向かう意欲が低い状態はあり得ます。逆に、忙しくて不満はあるが仕事に強く関わっている状態もあります。離職予防の文脈では、エンゲージメントの低下が退職の前段階として扱われることが多いですが、低下しても辞めない人、高いまま転職する人もいます。

エンゲージメントはサーベイで測るのが一般的です。ただし、回答は本人が答えた時点の気持ちであり、日々の行動とは別の情報です。両者をどう組み合わせるかは エンゲージメントサーベイの限界と、行動データとの併用 で扱っています。

パルスサーベイ

数問の短いアンケートを、週次・隔週・月次など高い頻度で繰り返す調査のこと。年1回の大規模調査より、変化を早くつかむことを目的とします。

「パルス(脈拍)」の名のとおり、組織のコンディションを定期的に測る発想です。設問は「今週の仕事量は適切だったか」「この会社で働き続けたいか」のように3〜5問程度に絞り、回答の負担を小さくします。頻度が高い分、回答率の低下や「毎回同じ答え」になる惰性が課題になります。

ChordOne にはパルスサーベイの機能があり、ChordOne Retention では回答を「サーベイ」系統の材料として使います。本人が不調や勤続意向の低下を回答で伝えたとき、また回答自体が遅れたときに、行動データの変化と重ねて見られます。

1on1

上司と部下が定期的に1対1で行う対話の時間のこと。進捗確認ではなく、部下の状態・気持ち・キャリアを聞くことを目的にします。

週1回〜月1回、30分程度で行うのが一般的です。離職予防の観点では、1on1 は「兆候に気づいたあとに話す場」であると同時に、「普段から気持ちを聞く習慣があるから、兆候が出たときに自然に深く話せる場」でもあります。兆候が出た人にだけ急に深い質問をすると、本人は違和感を覚えます。

ChordOne Retention では、気になる人の画面から「1on1 を予定」を選ぶと、対応記録とフォロー日が同じ画面に残ります。質問の型は 退職の兆候に気づいたときの 1on1 の質問、進め方は 兆候に気づいたあとの 1on1 にまとめています。

行動データ(活動量・応答・会議・勤怠)

Slack・メール・カレンダー・勤怠などに日々残る、活動量・応答・会議参加・出退勤といった「行動の量と頻度」の記録のこと。本文や内容は含みません。

離職予防で扱う行動データは、「何を言ったか」ではなく「どれくらい発言したか」「返事までどれくらいかかったか」「会議に出たか」「何時に退勤したか」という量・頻度・速さ・参加の情報です。この線引きが、監視にならないための前提になります。

ChordOne Retention が連携するのは Slack(発言量・反応・返信の速さ)、Google Workspace(会議・1on1 の参加、メールの量)、勤怠 CSV(出勤日数・残業・退勤時刻)、ChordOne 内のパルスサーベイです。連携の詳細は 機能 と 導入の流れ をご覧ください。

ベースライン(本人の過去との比較)

その人自身の、数週間〜数か月前の平常時の水準のこと。他人との比較ではなく、この基準からどれだけ変化したかで兆候を判断します。

「発言が少ない人」を探すと、もともと静かな人が常に上位に並びます。これは兆候ではなく性格です。ベースラインの考え方では、静かな人は静かなまま安定していれば変化として扱わず、よく話していた人が話さなくなったときに変化として拾います。他人とのランキングにしないことが、公平性と信頼の両方を支えます。

ChordOne Retention のすべての系統は、このベースラインとの比較で動いています。機能ページの「すべて本人の過去との比較。他人との比較ではありません」という一文は、この用語の言い換えです。

シグナルの系統

個々の検知結果を、「活動量」「応答の速さ」「会議・1on1」「勤怠パターン」のように意味のまとまりで束ねたもの。「なぜ気になるか」を1文で伝える単位です。

検知の仕組みは、細かい指標(メンションへの返答時間、リアクション数、残業時間など)ごとにシグナルを出します。これをそのまま並べると上司には読めません。そこで、同じ意味を持つシグナルを「系統(ファミリー)」に束ね、「メンションやスレッドへの返答が以前より遅くなっています」のような一文にします。

ChordOne Retention の系統は、活動量、周囲への関わり、応答の速さ、会議・1on1、業務アウトプット、勤怠パターン、サーベイ、転職準備(参考)の8つです。精度をまだ確認中のものは「参考(仮説段階のシグナル)」と明示して分けています。判断のしかたは 退職予兆の検知とは に書いています。

誤検知

退職とは無関係の理由(休暇・繁忙・異動・データ連携の不足など)で行動が変化し、兆候として拾われてしまうこと。理由を記録して閉じる運用が前提です。

行動の変化には、本人にとって正当な「別の理由」がいつもあります。長期休暇で活動量が落ちる、大きな案件に集中して雑談が減る、チーム再編で会話相手が変わる。誤検知をゼロにしようと閾値を厳しくすると、本当の兆候も拾えなくなります。だから、誤検知は「起きるもの」として、理由を残して閉じる運用にします。

ChordOne Retention では「誤検知として非表示」を選ぶときに理由(休暇・異動・データ連携の不足など)を選びます。同じ種類の検知をしばらく出さないようにするとともに、あとで振り返ったときに「何を誤検知としたか」が残ります。休暇による全指標の崩れを拾わないよう、「まだ発言・出勤している」ことを条件にする仕組みも入れています。

振り返り(退職者の予兆)

過去の退職者について、退職前にどの兆候がいつ出ていたかを自社データで見返すこと。退職日直前の30日は分析から除外します。

「精度は何%ですか」という質問に、一般的な数字で答えることはできません。連携しているデータの種類や会社の働き方で変わるからです。代わりに、自社の過去の退職者について「退職の30〜60日前に1回以上兆候が出ていた人の割合」と「在籍者に同じ期間で出た割合との比」を見れば、自社ではどの系統が先に出るのかが分かります。

退職日直前の30日を外すのは、この時期は有給消化や引き継ぎで全ての指標が一斉に崩れ、それは「退職を伝えたあと」の姿だからです。ここに合わせて閾値を作ると、間に合う時期の小さな変化に鈍くなります。ChordOne Retention の振り返り画面は毎週月曜に自動で測り直します。退職者が少ないときは目安として表示します。

フォロー記録

気になる人に対して誰が・いつ・何をしたか(1on1・対応・様子見)と、見直す日を残した記録のこと。フォロー日に効き目を見返すために使います。

兆候に気づいて声をかけても、記録が残らなければ「その後どうなったか」が分かりません。「様子を見る」と決めた場合も、いつまで待つかを決めて記録すれば放置になりません。記録は、本人が読んでも問題ない書き方(事実・本人の言葉・次の一手・見直す日)で残すのが基本です。

ChordOne Retention では、対応を記録するとフォロー日にリスクの推移を見て「改善・変化なし・悪化」を自動で付けます。何が効いたかが残るので、次の人への対応に活かせます。記録の書き方は 1on1 の記録の残し方 をご覧ください。

早期離職

入社から比較的短い期間(一般に3年以内)で退職すること。新卒では厚生労働省が「就職後3年以内の離職率」として毎年公表しています。

厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」では、令和4年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は大学卒で33.8%、高校卒で37.9%でした(厚生労働省 公表資料 2025年10月、2026年9月確認)。事業所規模が小さいほど離職率が高い傾向があり、20〜300人の会社にとっては身近な課題です。

早期離職の兆候は、在籍の長い人とは出方が異なります。入社直後はベースライン自体がまだ定まっていないため、「最初の3か月の立ち上がり」を別の見方で追う必要があります。詳しくは 若手の早期離職をデータで防ぐ にまとめています。

用語を知ったあと、どこから読めばよいか?

まず 兆候の読み方、次に 気づいたあとの 1on1、それから 機能 の順がおすすめです。製品を使わなくても、そのまま使える形で書いています。

兆候

退職の兆候はデータにどう出るか

系統別の変化と、最終月を除く理由。

基礎

退職予兆の検知とは

仕組み・精度の考え方・法律とプライバシー。

分析

離職原因の分析方法

退職面談・サーベイ・行動データを重ねて構造を見る。

ChordOne Retention は、ここに挙げた用語のうち「行動データ」「ベースライン」「系統」「誤検知」「振り返り」「フォロー記録」を1つの画面でつなぎます。20名まで無料で、21名以上は月200円/人です。