離職防止ツール比較|サーベイ型・行動データ型・1on1支援型の違いと選び方(2026年)
「離職防止ツール」と呼ばれる製品は、実は得意なことがまったく違う3つの型に分かれます。この記事では、エンゲージメントサーベイ型・行動データ型・1on1支援型の違いを整理し、各製品の位置づけと料金は公式サイトで確認できる範囲だけを記載します。提供元による記事ですが、比較は事実にもとづいて客観的に書いています。
- 離職防止ツール(退職予兆ツール)とは
- 従業員の状態の変化に早めに気づき、フォローにつなげるための業務ソフト。本人に答えてもらう「サーベイ型」、日々の行動データの変化から気づく「行動データ型」、上司との対話の質を上げる「1on1支援型」に大きく分かれる。多くの製品は複数の型の要素を持つが、中心となる材料が異なる。
離職防止ツールには、どんな型があるのか?
材料が「本人の回答」か「日々の行動データ」か「対話そのもの」かで、サーベイ型・行動データ型・1on1支援型の3つに分かれます。問いの答えが違うので、どれが優れているかではなく、いま何に困っているかで選びます。
| 型 | 中心となる材料 | 得意なこと | 苦手なこと | 製品例 |
|---|---|---|---|---|
| エンゲージメントサーベイ型 | 本人の回答(定期・パルス) | 組織・部署単位の状態の把握、原因の言語化、経営への報告 | 回答がない人・回答の間の期間。個人の変化を日次で追うこと | Wevox、モチベーションクラウド、ラフールサーベイ、freeeサーベイ |
| 行動データ型 | Slack・カレンダー・勤怠・人事データの変化 | 本人の過去と比べた個人の変化に、毎日気づく。回答に頼らない | 「なぜ」は分からない。データ連携と社内説明が前提 | ChordOne Retention、jinjer(退職アラート機能) |
| 1on1支援型 | 上司と部下の対話の記録・テーマ | 対話の質と頻度を上げる。属人化を防ぐ | 対話が起きない相手には届かない。誰に声をかけるかは別に決める必要 | Kakeai |
エンゲージメントサーベイ型は、どんな会社に向いているのか?
「原因が分からない」「部署ごとの状態を経営に説明したい」会社に向いています。本人の言葉が材料なので、組織の課題を言語化する力が強い一方、答えた時点の状態しか分かりません。
サーベイ型の代表的な製品と、公式サイトで確認できる情報を並べます。
| 製品 | 公式サイトでの位置づけ | 料金(公式サイトで確認できる範囲) |
|---|---|---|
| Wevox(株式会社アトラエ) | チームエクスペリエンスプラットフォーム。エンゲージメントサーベイ・カスタムサーベイ・ストレスチェック・組織分析・AI サポートなどをチームサクセスプランで提供 | 月600円/人(税抜)の従量課金。150名未満でも月額最低利用料金9万円(税抜)。初期費用・最低利用期間なし、1か月の無料トライアルあり(公式サイト、2026年9月確認) |
| モチベーションクラウド(株式会社リンクアンドモチベーション) | エンゲージメントスコアを組織の「モノサシ」として、診断と変革のサイクルを回す組織改善クラウド | 利用用途と人数に応じた個別見積もり。公式サイトに具体的な金額の掲載なし(公式サイト参照) |
| ラフールサーベイ(株式会社ラフール) | 組織改善ツール。組織状態の可視化と課題特定、対策プランの提供 | 月額16,000円(税抜)〜。初期導入費用は別途(公式サイト、2026年9月確認) |
| freeeサーベイ(フリー株式会社) | 月1回約2分の回答を AI が分析し、離職リスクのある従業員の可視化とフォローのアクションを提示。freee人事労務の従業員情報・勤怠と連携(2025年12月提供開始の公式プレスリリース) | 公式サイト参照 |
選ぶときの注意点は2つあります。ひとつは最低利用料金です。人数課金の単価だけを見て試算すると、150名未満の会社では最低料金のほうが大きいことがあります。もうひとつは回答の負荷で、月次・隔週のパルスは続けるほど回答率が下がりがちです。回答率の低下自体を手がかりにできる設計かも見ておくとよいでしょう。
行動データ型は、サーベイ型と何が違うのか?
本人に聞かずに、日々の行動データの「本人の過去との変化」から気づく点が違います。回答がない人や回答の間の期間でも兆候に気づけますが、「なぜ」は分からないので、対話とセットで使います。
| 製品 | 公式サイトでの位置づけ | 料金(公式サイトで確認できる範囲) |
|---|---|---|
| ChordOne Retention(ChordOne) | Slack・Google Workspace・勤怠 CSV・サーベイの長期的な変化を本人の過去と比べ、注意が必要な兆候を系統ごとに1文でまとめて「気になる人」を毎朝表示。次の一手と対応記録、退職者の振り返り。発言の中身ではなく変化の指標を見る | 従業員20名まで無料。21名以上は月200円/ユーザー。ChordOne の標準モジュールを4つ以上使う場合は月800円/ユーザーが上限(料金ページ) |
| jinjer 退職アラート機能(jinjer株式会社) | 「ジンジャー」上に蓄積される勤怠・給与・評価・異動履歴などの人事データを AI が分析し、離職予兆を早期検知。2026年6月以降に「ジンジャー人事労務」で順次提供開始(公式プレスリリース) | 公式サイト参照 |
行動データ型を検討するときに必ず確認したいのは、次の3点です。
- 何を見て、何を見ないか。発言や会議の中身を読む設計か、量・頻度・速さの変化だけを見る設計か。後者でなければ社内の信頼を得にくい。
- 基準は本人の過去か、他人との比較か。他人との比較だと、もともと静かな人が常に上位に並ぶ。
- 精度をどう示しているか。「○%の精度」と単一の数字で語る製品より、自社の過去の退職者について「退職前に兆候が出ていた割合」を自社データで確認できる製品のほうが、判断材料として信頼できます。精度の考え方は 退職予兆の検知とは で詳しく扱っています。
1on1支援型は、どんな役割を果たすのか?
「誰に声をかけるか」が決まったあと、対話の質と記録を支える役割です。気づく力は他の型に任せ、上司の対話力に差があるチームで効果を発揮します。
| 製品 | 公式サイトでの位置づけ | 料金(公式サイトで確認できる範囲) |
|---|---|---|
| Kakeai(株式会社KAKEAI) | 1on1 のテーマ選定・記録・分析を支援する 1on1 支援ツール。「Kakeai AI 1on1」では AI が対話を支援 | 1on1 ツールの通常プラン(ライト/スタンダード)は利用人数・プランに応じた見積もり制(公式サイト参照)。Kakeai AI 1on1 は基本機能がマネジャー権限ユーザー1人あたり月額2万円、初期費用30万円と記載(公式サイト、2026年9月確認) |
1on1支援型は「対話が起きること」が前提です。忙しさで 1on1 が流れがちな相手や、そもそも上司が変化に気づいていない相手には届きません。だからこそ、行動データ型やサーベイ型で「誰に・いつ」を決め、1on1支援型で「何を・どう話すか」を支える組み合わせが自然です。ChordOne Retention は、系統から 1on1 で聞くことの下書きを作る「AI 面談メモ」と、ChordOne の 1on1 画面への連携を持っています。話し方そのものは 兆候に気づいたあとの 1on1 にまとめています。
20〜300人の会社は、どう選べばよいのか?
いま一番困っていることから選び、最低利用料金と社内説明の負荷を先に確かめます。原因が分からないならサーベイ型、気づくのが遅いなら行動データ型、対話の質にばらつきがあるなら1on1支援型です。
| いま困っていること | 先に検討する型 | 確認すること |
|---|---|---|
| 辞める理由が分からない。部署ごとの状態を経営に説明したい | サーベイ型 | 最低利用料金、回答時間、部署別分析、匿名性 |
| 退職面談で「半年前から」と聞く。気づくのが遅い | 行動データ型 | 見るデータの範囲、本人の過去との比較か、精度の示し方、社内説明の支援 |
| 上司によって 1on1 の質にばらつきがある | 1on1支援型 | 記録の共有範囲、テーマの提案、人事から見える情報 |
| ツールを3つ以上契約して費用と運用が重い | 複数の型を1つの基盤で持つ製品 | 合算した月額、従業員データが1本か、あとから機能を足せるか |
費用については、単価ではなく自社の人数での月額で並べてください。たとえば従業員50人の会社では、月600円/人のツールでも最低利用料金が月9万円なら実際の支払いは9万円です(Wevox の公式サイトの例より)。同じ50人で ChordOne Retention は月1万円です。もちろん機能も型も違うので、金額だけで優劣は決まりません。「その金額で、いま困っていることが解決するか」で見てください。
もう一点、どの型を選んでも共通して必要なのが社内への説明です。サーベイなら「回答は誰が見るのか」、行動データなら「何を見て何を見ないのか」、1on1支援なら「記録はどこまで共有されるのか」。これを導入前に文章で伝えられる製品・体制かどうかが、定着を左右します。行動データ型の説明文例は 導入の流れ に置いています。
まとめ
- 離職防止ツールは、材料の違いでサーベイ型・行動データ型・1on1支援型に分かれる
- サーベイ型は原因の言語化と経営報告に強く、行動データ型は個人の変化に毎日気づく力があり、1on1支援型は対話の質を支える
- 料金は単価ではなく自社の人数での月額で比べる。最低利用料金と初期費用を確認する
- どの型でも社内説明が必要。何を見て何を見ないかを先に決める
本記事の他社製品に関する記載は、各社の公式サイト・公式プレスリリースで2026年9月時点に確認できた内容にもとづいています。最新の仕様・料金は各公式サイトでご確認ください。誤りがあれば お問い合わせ からお知らせください。